
世界史の授業で必ず登場するカラカラ浴場。変な名前だと思ったものですが、217年に第22代のローマ皇帝カラカラによって作られたためにこう呼ばれています。
このカラカラ帝、実はルキウス・セプティミウス・バッシアヌスが本名で、カラカラというのはあだ名だったそうです。ちなみに日本語ではカラカラですが、イタリア語ではCARACALLAで、RとLの発音が苦手な日本人にとって注意を要する名前です。
しかもカラカラ帝という名前だけでもおかしいのに、彼の弟の名前は「ゲタ」。ところが父帝の死によって10歳と9歳の兄弟は共同皇帝だったのに、結局意見の合わない弟ゲタ帝を殺して、単独の皇帝になったという恐ろしい話。その後、暴君として君臨した彼も、結局29歳で暗殺。
そんなことは置いておいて、カラカラ浴場は、現在ローマに残る最も保存状態のよいテルマエ・ロマエで、当時も最も美しい浴場として有名だったそうです。
残念ながら、保存状態がいいといっても、その大きさは堪能できますが、所詮は遺跡。美しいモザイクだって、とっくの昔に教会や宮殿に運び去られていて、残っているのはほんの一部です。当時の状況を想像するのは至難の業。

ところが、今、チケット売り場では最新技術の3Dメガネを7ユーロで貸し出ししていて、その眼鏡をかけて遺跡を見ると当時の様子が蘇るという優れものです。先月、私が第一日曜日に出かけたときは、なぜか17時以降は貸し出し不可で、借りることができなかったのですが、かなりの迫力満点のようです。
それから、浴場とオペラ会場の間には、地下へもぐる階段があって、当時の地下の遺構が見学できます。これ、本当に今から1800年前に作ったというのが信じられないほど、しっかりと作られていて、ますます古代ローマ人の偉大さを実感できます。少しわかりにくいのですが、お見逃しなく。

しかも灼熱の真夏のローマなのに、一歩地下へ降りると、ひんやりと寒いくらい。その意味でもおすすめのスポットです。
夏の間は19時30分まで開いているので、少し涼しくなった夕方に行くのがおすすめです。
カラカッラ大浴場(TERME DI CARACALLA)
住所:Viale delle Terme di Caracalla,52(地下鉄B線チルコマッシモ駅より徒歩5分)
開館時間:9時開場。閉館は3月最終日曜日から8月31日まで19時15分、9月は19時まで、10月は18時30分、10月最終日曜日から2月15日まで16時30分。月曜のみ9時~14時(通年)
入場料:8ユーロ