先月、イタリアでも大ヒットのアメリが映画「ワンダー」が公開になりました。昨日、下の子の通う小学校では、5年生全体が、隣にある中学と一緒に、課外授業で映画を見にへ行ってきました。

「どうだった?」と聞くと、「う~ん。あっ、意地悪する子供が格好良かった!」。

びっくりしてどういう意味か聞くと、「顔が格好良かったって言う意味。」。ちょっと安心、でも、かなり的外れですよね。

映画の内容についてしつこく聞くと、「こういうジャンルは好きじゃない」、とのこと。

夏休み、イタリア語の授業の課題図書として「ワンダー」の本を読んでいた上の子も、「わかるわかる。こういうのって、苦手。インパクトが強すぎで、こういうの私もダメ・・・」という始末。

あれこれ言ってたら、「じゃあ、お母さんに本を貸すから読んでみてよ。」と、本を渡されてしまいました。実は、私もあまり得意なジャンルではないのですが。しかも、イタリア語。

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日本語で書評を読んだだけだから、エラそうなことは言えないのですが、全世界で300万部のベストセラー。とても興味深かったので、子供たちと映画館へ行こうかと思っていたのに。

実はこの9月から、隣の中学に「ワンダー」の主人公のような障害を持った子が入学してくるそうです。どうやら、そのための準備として、映画を見せておこうという目的だったらしいと、お母さんたちが話してました。

イタリアでは、日本のような特別学級がありません。

うちの子供たちは、幼稚園の時に、車椅子に乗っている重度の障害を持っている子がクラスにいました。言葉も全く話せないので、コミュニケーションも全くできない子でした。でも、子供たちは差別したりいじめたりということもなく、何かあればお世話焼きのおしゃまな女の子たちが、せっせと手を貸してあげてました。特別学級に分けないで、こうやって一緒に育つってすごいな、と思った記憶があります。

ここ数年、下の子供が通っている陸上のコース(?)は、教会を母体としているからか、1人自閉症のような症状のあるマッテオ君という子供が来ています。驚くほど足が速いのだけど、突然、まわりの子供に抱きついたり、突き飛ばしたり、といった突発的な行動をします。若いアシスタントが付いているのだけど、あっという間の出来事なので、先週も女の子が泣かされていました。男前のコーチは、若いのにすごくできている人なので、上手にやってくれていますが、それでも大変です。

国際自閉症の日かなにかで、学校で自閉症について勉強した日のこと。帰り道に、「今日、学校で自閉症について勉強したんだ。やっとわかった、マッテオは、きっと自閉症なんだよね。」なんて言っていました。

イタリアの学校では、同じクラスでも年齢も、髪の色も目の色も、肌の色も、宗教も違う環境で、世の中の多様性、ということを実感しながら成長していきます。というより、他人と自分が違うことは当たりまえなのですよね。

問題が山積みで、システムがうまく機能しないイタリアの学校ですが、この多様性の中で、他者との違いをきちんと尊重できるように育ってくれたらいいな、なんて思います。