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週末、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局本店へ行ってきました。

今から20年位前、初めて行ったときは「フィレンツェのマダム御用達」、という言葉がピッタリだった場所でした。
美術館のように美しい広い店内に、恐る恐る足を踏み入れると、うっとりするようなハーブの香りが満ちていて、品のいい服装のシックなマダムが数人買い物をしていました。
この、いかにもヨーロッパ、といいう静謐な雰囲気に緊張して、店員に声をかけられる前に、大急ぎでぐるっと中を覗いただけで、後ろ髪を引かれながら、お店を後にした、という苦い思い出があるお店。写真を撮るなんて、とてもじゃないけれど、それすらできなかった。

時は流れ、今はフィレンツェの有名観光スポット、いつ行っても、観光客でごった返しています。私が年を取ったせいもあるけれど、「緊張」なんて言葉とは全く無縁で、気軽に入れるお店です。なんだか、残念な気もしますが。

とはいっても、商品は超一流品。最近、香りのろうそくに凝っている我が家の中学生は、値段を見て、びっくりしていました。それもそのはず、もとはメディチ家の御用達の品々。その頃のレシピのまま、品質にこだわって作っているという気品ある香りは、まさにフィレンツェの華やかなりしころを彷彿させてくれます。

ここのお店の私のおすすめは、奥にあるティールーム。フィレンツェ中央駅から近いので、フィレンツェについたら、まず、ここでお茶、というのが定番です。ティールームは、そこまで混んでいないので、ゆっくり、静かに楽しめます。

g cake


サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局なのだから、本当は特製のハーブティーを頼む方がいいのでしょうが、邪道にも、いつもエスプレッソを頼んでしまいます。というのもサンタ・マリア・ノヴェッラ特製のチョコレートが、おまけでついてくるのです。チョコとエスプレッソは黄金の組み合わせ。ケーキも3種類くらい用意されていますが、どれも絶品。大満足のティールームです。

昨日は、「2日前にできたばっかりのリキュールがあるのですが、試してみませんか?」と、ラッキーにも試飲させていただきました。

小さなガラスのショットグラスに入ったELISIR DI RABARBAROは、食後酒のアマーロのようだけど、アルコールがそこまで強くなく、薬草独特の苦みもなく、マイルドでとても美味。

辞書を引いてみると、RABARBAROは日本語では「ダイオウ」の意味。病気のもととなる諸悪を排する作用があるとして、漢方の重要な生薬です。

g elisir

今まで気にしてもなかったELISIRですが、ボトルのデザインもアンティークで素敵です。お土産にしても、喜ばれるかもしれませんね。本店では、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の回廊に面した左奥の部屋に、いろんな種類のELISIRが並んでいました。ELISIRは、日本語だと「妙薬」。なんだか、クラシックですねえ。バラのELISIRなんて、まるで「愛の妙薬」のようです。今度、ぜひ、ローマのお店で試してみたいところです。

ティールームの近くの、フレスコ画が残っている部屋は、4月に行ったときはまだ修復中だったのに、全て、きれいに修復されていました。キリストの生涯が描かれています。

いかにもフィレンツェ、行くたびに優雅な気分になれる素敵なおすすめのお店です。