
カステッリ・ロマーニのオープンディにちなんで、おすすめの美術館、キージ宮殿をご紹介します。
キージ宮殿は、アッピア街道に沿ったアリッチャの街にあります。もともと1400年代にローマの旧家であるサベッリ家が、この地方に領地を獲得した時に建てられた館を、1600年代に新たな所有者となったキージ家が、大々的に改装した宮殿です。
バロック時代のままの内装まできちんと残っているおそらく唯一の宮殿だと言われていて、1960年代にルキーの・ヴィスコンティが傑作「山猫」を撮影した際、屋根裏部屋のシーンまですべてこの宮殿を使ったことでも有名です。
キージ家は、元はトスカーナのシエナの大銀行家で、1655年アレッサンドロ7世と言うローマ法王まで排出した有力貴族です。ルネッサンス時代のローマ法王たちは、宗教家と言うよりも王様のようなもので、ニポティズムと言う親族登用主義をとことんまで活用して一族の発展に貢献したのです。
このアリッチャのキージ宮は、ローマのバロック芸術の巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニによって建設されました。ローマ市内の中心、コルソ通りに面したキージ宮も同じキージ家が所有していたもので、現在はイタリア政府の管轄で内閣総理府がおかれているというだけで、この一族の繁栄ぶりが想像できます。
現在、美術館として開館しているキージ宮殿には、ベルニーニの「キリストの血」、バッチッチョの「自画像」、ピエトロ・ダ・コルトーナ、アンドレア・サッキ、アンドレア・ポッツォ、ボルゴニョーネなど数々の傑作が展示されています。
1712年から1960年代まで、キージ家はローマ法王選出の際に行われるコンクラーベの鍵を管理する重要な役職にありました。この大切なコンクラーベの鍵も展示されています。
とにかく豪華絢爛なバロック時代の装飾が施されたキージ宮殿は10,000㎡もの広さがあり、庭ではな280,000㎡という広大な公園が広がっています。宮殿の中で見学できるのは一部だけですが、かなりの広さがありますので歩きやすい靴で出かけることをお勧めします。
アリッチャのキージ宮殿と公園(PLAZZO E PARCO CHIGI DI ARICCIA)
住所:PIAZZA DI CORTE 14
開館時間:土、日、祝日のみ開館、10時~13時30分、15時30分~19時
(公園は4月1日~10月31日まで開園)
料金:6ユウロ
また、キージ宮が面している広場にある噴水も、キージ宮の向かい側にあるサンタ・マリア・デッラッスンツィオーネ教会もベルニーニの作品です。ベルニーニファンにはアリッチャは必見ですね。
ベルニーニの作品の中でもデザイン的には完璧な出来だと言われる教会ですが、注文主の法王アッレサンドロ7世には、儀式の時に使いにくいと不評だったそうです。後陣にはボルゴニニョーネの「聖母被昇天」のフレスコ画、天井のクーポラにはアントニオ・ラッジの美しい装飾が施されています。
設計時には、この教会もキージ宮の敷地の一部を占めていたのですが、道路を寸断する形だったために、後世、交通量の多い道路に分断されてしまいました。当時は、すごく美しかったでしょうね。
このアリッチャへは、ローマからアッピア街道をまっすぐ約25kmの距離なのですが、残念ながら公共交通機関はあまり便利ではありません。地下鉄A線の終点アナニーナ(ANAGNINA)駅からCoTralという近郊バスで、
Colleferro(コッレフェッロ, Cori(こーり), Latina(ラティーナ), Velletri(ヴェレットリ), Genzano(ジェンツァーノ), Lanuvio(ラヌーヴィオ)行きです。http://www.cotralspa.it/
専用車を使ってオーダーメイドのカステッリ・ロマーニの旅行もご用意いたしております。お気軽にお問い合わせください。詳細