roma Fornarina

思わず見る人の目を惹きつける魅力あふれる半裸の若い女性の肖像画。バルベリーニ宮国立古典絵画館にある有名なラファエロの傑作「ラ・フォルナリーナ(LA FORNARINA、1518-19)」です。

ルネッサンスを代表する天才芸術家の一人として、キリスト教の総本山ローマにも夥しい名画の数々を残しているラファエロは、ローマ法王のお気に入りとして近侍という高い地位と高給を得ていましたが、生涯独身をとおしています。

とはいっても、多くの女性関係があったようですが、その中でもトラステヴェレのサンタ・ドロテア教区にあるパン屋の娘(フォルナリーナ)マルゲリータ・ルティが最後までラファエロの恋人だったとヴァザーリの「芸術家列伝」に書き記されています。

この「ラ・フォルナリーナ」は透明なベールで体を覆うのみなので、よけいに目につく左の腕に付けた腕輪には「Raphael Urbinas」との文字が刻まれています。これは「「ウルビーノ出身のラファエロ」を意味します。何とも言えずロマンチックな表現です。

この絵のスタイルは、ヴァチカン美術館にある「クニドスのヴィーナス(VENERE DI CUNIDO)」という古代ギリシアの彫刻のローマ時代の複製によってヒントを得たのではと言われています。どの角度から見ても美しい裸体の女性像は、腕にファルナリーナのように腕輪をし髪を1つにまとめ、奥ゆかしく体を隠しているよう、裸体を強調している腕の感じも、確かに共通しています。ヴァチカンに頻繁に出入りしていたラファエロですから、間違いなくこの美しい彫像を見ているはずですね。

それにしても、この絵を完成させた翌年、37歳で生涯を終えてしまったラファエロ。天才であるが故の運命なのかもしれませんが、もったいないですね。そう思ってこの絵を見ると、なんだか切なくなってしまいます。

地下鉄A線の「バルベリーニ」からすぐ、スペイン階段からも歩いて15分ほどで行ける交通至便のバルベリーニ美術館にあるので、ぜひ、足を運んでみてください。

バルベリーニ美術館(国立古典絵画館)Galleria Nazionale d'Arte Antica
住所:Via della quattro fontane,13
開館時間:8時30分~19時(月曜休み)
入場料:7EURO