
真実の口で有名なサンタ・マリア・コスメディアン教会。実はこの教会には、聖ヴァレンタインの頭部が奉納されているってご存知ですか?
キリスト教の教会は格を上げるために(?)、有名な聖人の遺体や遺体の一部や歴史的に有名なものを集めて教会内に奉納しています。これが「聖遺物(RELIQUIA)」というものです。重要な聖遺物のある教会には、一目見ようと信者が集まってくると当然お布施も入ってくるわけで、中世から近代にかけても教会は「有名な聖遺物」探しにやっきになっていた時代があるのです。
異教徒からすると少し気味が悪いのですが、サン・ピエトロ大聖堂には聖アンドレアの頭部が、ジェズ教会には日本へも布教に来た聖ザビエルの右手が大切な聖遺物として飾られています。教会へ行くときには、ぜひ聖遺物をチェックしてみてください。とんでもないものが後生大事に飾られているので面白いですよ。
また、キリストが磔になった十字架の木片は、最も人気のある聖遺物らしく、世界中のその木片を集めると高層ビルが建つくらいの量なのだそうです。
ところで、この聖ヴァレンタインの頭部は聖遺物の例にもれず豪華に飾り立てられていて、世界で最も有名な聖人の聖遺物とあって多くの観光客の注意を引いていますが、残念ながら「聖ヴァレンタイン」といっても、2月14日のサン・ヴァレンタインデーとは関係ない同じ名前の別人だそうです。
本物の聖ヴァレンタインはイタリア中部ウンブリア州テルニの街の守護聖人で、彼のお墓の上に4世紀頃バジリカ・ディ・サン・ヴァレンティーノという教会が建てられています。ところが不思議なことに聖ヴァレンタインの聖遺物はイタリア半島のつま先にあるカラブリア州やバジリカータ州、イタリア最北端の街トレンティーノ州、海を越えてサルデニア島にもあるのです。しかもアイルランドのダブリンの教会にもあるというのですから驚きです。教会いわくローマ法王グレゴリオ16世がアイルランド人の聖職者に与え、1836年にダブリンへ渡ったそうです。
それこそ関係者がみんな真実の口の中へ手を入れてみてほしいものですね。