このフランステロ騒ぎで揺れてるヨーロッパ。このさなかの11月19日、ヴェローナにあるカステルヴェッキオ市民美術館(Museo Civico di Castelvecchio)の名作が、何者かによって盗まれました。

19時30分ころ、閉館前のあわただしいころ合いを見計らって、怪盗ルパンのように覆面の三人組が、わずか1時間15分の間に、この美術館所有のイタリア絵画の名作を盗んで逃亡したのです。

盗まれたのは、
La Madonna della quaglia del Pisanello(ピサネッロ)
San Girolamo penitente di Jacopo Bellini(ヤコポ・ベッリーニ)
la Sacra famiglia con una santa di Andrea Mantegna(アンドレア・マンテーニャ)
Ritratto di giovane con disegno infantile e Ritratto di giovane benedettino di
Giovanni Francesco Caroto(ジョヴァンニ・フランチェスコ・カロート)
Madonna allattante, Trasporto dell'arca dell'alleanza, Banchetto di Baltassar, Sansone e Giudizio di Salomone di Jacopo Tintoretto(ヤコポ・ティントレット)
Ritratto maschile della cerchia di Jacopo Tintoretto(ヤコポ・ティントレッロ)
Ritratto di ammiraglio veneziano della Bottega di Domenico Tintoretto(ドメニコ・ティントレット公房)
Ritratto di Marco Pasqualigo di Domenico Tintoretto(ドメニコ・ティントレット)
Dama delle licnidi di Peter Paul Rubens(ピーター・ポール・ルーベンス)
Ritratto di Girolamo Pompei di Giovanni Benini(ジョバンニ・ベッリーニ)を含む17点です。

ヴェローナという地方都市の市民美術館に、これだけの有名な画家の作品がそろっているところが、やっぱりイタリアですね。それにしても、このピサネッロの絵、マドンナのまなざしに魅了されてしまいます。もったいない。
ヴェローナでこの美術館を訪れなかったことが悔やまれます。

Verona, violato il Museo Civico di Castelvecchio. Rubate opere di Mantegna, Tintoretto e Rubens

被害推定額1千万~1千5百万ユーロだそうですが、こういう美術作品の場合、お金を出しても買えないものなので、残念です。警察の発表によると、盗難のプロだけど絵画のプロではないので、何者かの指示によって、リストを見ながら盗んでいったようです。ティントレット近くにあった絵画にも破損を与えていて、この怪盗団の行動の荒っぽさがうかがえます。そして、こういった絵画は普通は市場に現れることはないのですが、東欧にこういった専門の市場があり、どこかの誰かの応接間を飾る作品として売買されているそうです。

この建物は歴史が古く、1354年に建てられたスカリジェーロ城で、カステルベッキオ(古い城)という名称で知られています。20世紀中ごろに29の展示室のある市民美術館として修復されています。ここには48個、防犯カメラが設置されていて、残っている過去5日分の記録を徹底検証するそうです。

それにしても、同じ日にクイリナーレ宮殿において、マッタレッラ大統領、フランチェスキーニ文化大臣臨席のもと、警察によって取り戻されたイタリアの名画2点にちなむ展示会の開会式の最中に、この大がかりな盗難が起きたことが何とも言えず皮肉です。